不妊症治療にもインフォームド・コンセント

不妊症治療に関わらず、インフォームド・コンセントという言葉は最近の医療ではよく使われます。

しかし、この言葉はアメリカ社会で生まれた法的概念で、日本の社会には馴染まないということからも、インフォームド・コンセントはいろいろな意味で使われてもいます。

すこし脱線ですが、アメリカに旅行等で出掛けて、何かの契約をします。例えば、レンタカーを借りましょう。細かい文字がぎっしりつまった用紙を渡され、早口でよくわからない英語で説明され、こことここにサインをといわれると、つい同意のサインをしてしまいます。これはインフォームド・コンセントとはいいかねます。

不妊医療におけるインフォームド・コンセントには、少なくとも説明と同意の間に理解がなくてはなりません。説明する側も理解しやすい言葉で行う必要がありますが、患者さんも、いい加減に聞き流すことなく、理解しがたい点は聞き返し、納得がいくまで説明を受けなくてはいけません。

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このような不妊症の診療開始にあたっては、診療の流れの全体像を患者さんに説明し、理解を得た上で実際の検査を開始する必要があります。

患者さんや相談希望者の来院による不妊症相談に始まり、不妊症と診断された後に初めて検査が開始されるわけです。

さらにそれに基づいて不妊症治療が始まります。

妊娠と先天異常児の出産

精子や卵子の優性遺伝子に突然変異が起こると、これが受精して生じた胚や胎児に異常が現われます。

異常胚のほとんどは発育の途中で死んでしまうのですが、もし、出産すると先天異常をともない生まれてしまいます。

劣性遺伝子に突然変異が起こると、子どもは健常児として生まれますが、突然変異遺伝子の潜在的保因者となり、変異した遺伝子は子孫へ代々伝わるのです。

同じ変異遺伝子の保因者どうしが結婚して、先天異常の子どもが生まれたとき初めて表面に現われますが、そのときには変異を起こした遺伝毒物が何であったかわからないのです。

精子や卵子の性染色体に劣性突然変異が起こると伴性遺伝という特殊な遺伝をします。血友病がそれにあたります。